収益不動産を売るか、持ち続けるか。判断前に整理したい3つの数字

アパートなどの収益不動産を保有していると、「今ならいくらで売れるのか」「このまま持ち続けてよいのか」と考える場面があります。相続した物件であれば、ご家族の意向や、これから誰が管理を担うかも大切な判断材料です。

日本銀行は2026年9月18日、短期金利の誘導目標を1.25%程度とすることを決めました。ただし、政策金利がそのまま各物件の借入金利になるわけではありません。適用金利や見直し時期は、ご自身の契約条件で確認する必要があります。

相場や金利のニュースを個別の判断につなげるために、整理したいのは、現在の手残り、今後必要な資金、売却後に残る資金の3つです。

1.現在、年間でいくら手元に残っているか

満室時の想定家賃や表面利回りだけでなく、実際の入金から確認しましょう。管理費、固定資産税・都市計画税、保険料、通常の修繕費などの支出と、借入の元金・利息の返済を分けて並べます。

ここで見るのは現金の出入りです。帳簿上の利益とは異なるため、どの税金や費用を含めた数字なのかもそろえます。空室や滞納は実際の入金額に反映されているので、重ねて差し引かないようにします。

借入がある場合は、返済予定表と金利の見直し条件も確認します。金利が変わった場合の影響は、返済方法や契約条件によって異なります。金利差を借入残高に掛けただけで、毎年の返済額の増減と決めつけないことが大切です。

2.持ち続けるために、いつ、いくら必要になるか

足元の収支が黒字でも、外壁・屋上防水・給排水設備などの修繕が重なる年には、まとまった資金が必要になる場合があります。

修繕履歴と建物の状態を確認し、必要な工事、その時期、見積額を整理します。金額が分からない項目はゼロとせず、「未確認」と残しておきます。数年先までの収支表に修繕を予定する年を置くと、資金を準備する時期も見えやすくなります。

空室対策や設備更新については、支出額だけでなく、募集条件や入居状況への効果を複数のケースで比べます。修繕費を減らすことだけを目的にせず、必要な対応と、実施時期を調整できる対応を分けて考えましょう。

3.売却した場合、最終的にいくら残るか

売却価格から、借入残高、仲介手数料などの売却費用、必要な税金等を差し引き、手元資金を確認します。未確定の費用や税額には、その前提と確認先を添えます。

価格の検討では、近隣の売出事例だけでなく、成約事例や物件の収益、築年数、管理状態、買主の融資条件も見ます。地域の中古マンション平均価格を、そのまま一棟アパートの価格に当てはめることはできません。

売却後の資金を何に使うか、家賃収入がなくなった後の生活や資産全体にどのような影響があるかも、一緒に整理します。

保有・改善・売却を、同じ期間で比べる

3つの数字をそろえたら、「現状のまま保有する」「必要な改善をして保有する」「売却する」を比べます。たとえば5年間を比較するなら、保有案は期間中の収支と5年後の売却を想定した手残り、売却案は今の手残りとその後の資金の使い方まで整理します。5年後の価格は予測を一つに決めず、幅を持たせます。

数字に加えて、管理にかけられる時間、ご家族の希望、相続や将来の生活に必要な資金も確認します。ご自身が何を優先したいかによって、適した選択は変わります。

BACでは、収益不動産の保有・収支改善・売却を、資産全体の目的に合わせて比較するお手伝いをしています。レントロール、直近の収支明細、返済予定表、修繕履歴など、お手元にある資料からご相談ください。

※本記事は検討の視点を整理した一般的な情報です。将来の収益や売却価格を保証するものではありません。個別の税務・法務は各分野の専門家、融資条件は金融機関への確認が必要です。

参考資料:日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)

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